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中野の名曲喫茶「クラシック」の思い出。ウィーンのホイリゲとの違い

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640x640_rect_38048524かつて、名曲喫茶というのがあった。
学生時代に良く通っていたのは中野にあった喫茶店で、その名も「クラシック」である。
 
 
外見からしてあばら屋で、良く持ちこたえているなという感じの木造の建物であった。
中に入ると店の老マスターがにっこりと出迎えてくれる。
 
 
入り口付近にある黒板に自分のリクエストをしたい曲を書いて、薄暗い店内を見渡して恐る恐る一歩ずつ踏みしめていく。
そうでもしないと、床が落っこちそうなのである。
 
 
やっと席に着くとワンカップ大関の空き瓶に水を入れたものをウェイトレスが運んでくる。
店内を見わたると、読書にふけっている人、友人と語らう人、等、様々な人間が座っている。
 
 
その中で、リクエストした曲がかかるのを待つのだ。
今となってはその店もない。
青春時代の1ページで、なかなか面白い体験であった。

ウィーンのホイリゲ。音楽は生活の中に。

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社会人になってから、ウィーンに何度も行き、ホイリゲ(居酒屋)にも良く足を運んだが、こういうところには、例えばヴァイオリン、ギター、アコーディオンのトリオでやっているような流しが来て、リクエストした曲やウィーン物を演奏したりしてくれる。
 
 
日本人と知ると「上を向いて歩こう」を黙ってくれても演奏していたりするのが多かったが、私の場合はジィーツィンスキーの「ウィーン、わが夢の街」などを演奏してもらった思い出がある。
 
 
店は街の中にある昔ワイン樽を寝かせるのに使っていたいわゆる洞穴であったが、お客さんのおしゃべりがよく響き、陽気で明るく、皆、心の底から音楽を楽しんでいる感じだった。
1512-wein-heuriger-19to1ウィーンの居酒屋と日本の喫茶店の違いは、音楽が生活に溶け込んでいる世界と明治以降、「節」ではない西洋音楽を取り入れて間もない世界の違いであり、今では、かくも違うものであったかと思う次第だが、二つの中には共通点もあった。
それは、喫茶店店主の音楽に対する優しいまなざしと笑顔、そして、ホイリゲの老ヴァイオリニストが見せたなんとも幸せな笑顔である。

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